鋼管うんちく

ステンレスパイプの曲げ加工の特徴や用途、曲げの種類について

公開 2022.06.15 | 更新 2026.08.10
ステンレスパイプの曲げ加工の特徴や用途、曲げの種類について

ステンレスパイプは、耐食性や耐久性に優れ、衛生的な環境を維持しやすい材料です。建築構造をはじめ、食品に関わる工場や工業製品、日常生活のさまざまなところで幅広く使用されています。

ステンレスパイプを使用するためには用途にあった曲げ加工を行いますが、ステンレスは曲げ加工が難しい素材です。精密に仕上げるには材料の特性を理解し、高い技術と豊富な経験が求められます。

今回は、ステンレスパイプの曲げ加工も得意とする宮脇鋼管が、ステンレスパイプの特徴や種類、曲げ加工の注意点について紹介します。

ステンレスパイプとは

ステンレスパイプとは

ステンレスパイプとは、耐食性や耐熱性、低温特性に優れたステンレス鋼を素材として製造されたパイプです。

ステンレスは表面が滑らかで汚れが付着しにくく、衛生的な環境を維持しやすいことから、厨房機器や食品工場、医療器具などにもステンレスパイプが使用されています。そのほか、建築や機械構造用、ボイラ・熱交換器用、液体などを運搬する際の配管用としても幅広く利用されています。

ステンレスパイプの種類と用途

ステンレスパイプの種類と用途

ステンレスパイプにはさまざまな種類があり、形状によって適した用途が異なります。ここでは、代表的なステンレスパイプの種類と主な用途を紹介します。

【ステンレスパイプの種類と用途】

  1. 丸パイプ
  2. 角パイプ

1.丸パイプ

丸パイプは、断面が丸い形状のステンレスパイプです。私たちの身近なものでは、手すりや家具、屋上の手すり、フェンス、エクステリアなどの装飾用として利用されています。

そのほか、石油化学工場や発電所、製紙工場などでの配管や水処理設備、建築構造用としても広く採用されています。

2.角パイプ

角パイプは、断面が四角い形状のステンレスパイプです。門扉やフェンス、エクステリア、商品陳列棚をはじめ、手すりなど、デザイン性と強度が求められる場面で多く使用されています。

また、丸パイプと同様に、防護柵などの建築構造材としても広く利用されています。

ステンレスパイプの曲げ加工とは

ステンレスパイプは、用途に応じて適切に曲げ加工を行う必要があります。しかし、ステンレスは他の素材のパイプと比べて曲げ加工が難しい材料とされています。

その理由の一つが、プレスしても素材の持つ弾性によって元の形状に戻ってしまう「スプリングバック」の特性が大きいことです。そのため、狙った角度どおりに加工するには、材料の特性を考慮した加工条件の設定や、高い加工技術が求められます。

また、 代表的なオーステナイト系ステンレス銅は、両サイドから材料を引っ張り千切れるまでの力を数字で表した「引張強さ」が高く、比較的伸びが大きいという特徴があります。炭素鋼などと比べると、加工に1.5倍以上の圧力が必要です。

ステンレスパイプの曲げ加工の方法

ステンレスパイプの曲げ加工の方法

ステンレスパイプの曲げ加工の工法として代表的なものが、パイプベンダーを使用する「ベンダー曲げ」と、高周波誘導加熱を利用する「高周波曲げ」です。以下では、それぞれの特徴について紹介します。

【ステンレスパイプの曲げ加工の方法】

  1. パイプベンダー
  2. 高周波曲げ

1.パイプベンダー

ステンレスパイプの曲げ加工では、主にパイプベンダーという機械を用いたベンダー曲げが選択されます。ベンダー曲げは、プレス曲げとも呼ばれており、上型(パンチ)・下型(ダイ)の金型でパイプを潰すことなく加圧して加工する方法です。

ベンダー曲げで加工するのは丸パイプがほとんどで、角パイプの場合は加圧して曲げるのではなく、パイプを斜めに切断した部材を溶接し、曲げ形状に仕上げるのが一般的です。

2.高周波曲げ

高周波曲げは、高周波誘導加熱によって金属パイプの一部を局所的に加熱し、加工物を曲げる熱間加工法の一種です。必要な箇所のみを高温にすることで、材料全体への熱影響を抑えながら、大径パイプや厚肉パイプでも効率的に曲げ加工を行えます。

また、高周波曲げは大きな曲げ半径(R)の加工や長尺パイプの加工にも適しており、配管設備や建築・土木、プラント設備など幅広い分野で採用されているのが特徴です。

一方で、加熱による材質や表面状態の変化が生じることがあり、用途に応じて熱処理や表面仕上げなどの後工程が必要になる場合があります。

ステンレスパイプの曲げ加工でできる形状

ステンレスパイプの曲げ加工でできる形状

ステンレスパイプは、曲げ加工によってさまざまな形状に加工できます。ここでは、代表的な曲げ形状とそれぞれの特徴について紹介します。

【ステンレスパイプの曲げ加工でできる形状】

  1. への字曲げ
  2. L字曲げ
  3. レ型曲げ
  4. U型曲げ
  5. コ型曲げ
  6. Z型曲げ

パイプの曲げ加工1:への字曲げ

への字曲げとは、ひらがなの「へ」の形のように、90°よりも緩やかな角度で曲げる方法です。

一般的な曲げ角度は、10°から85°の間での加工となります。

パイプの曲げ加工2:L字曲げ

L字曲げとは、アルファベットの「L」のように、ステンレスパイプを90°に曲げる加工方法です。広く使われる曲げ方で、さまざまな場所で利用されています。

L字曲げに限ったことではありませんが、ステンレスは元に戻ろうとするスプリングバックが強く出てしまいます。L字のように90°ちょうどに曲げたいときは、スプリングバックを考慮して2〜3°大きく曲げてから仕上げるという調整が必要です。

パイプの曲げ加工3:レ型曲げ

レ型曲げとは、直角よりも狭い角度でカタカナの「レ」の字のように曲げる方法を指し、「レ」の字に似た「V字曲げ」と呼ばれることもあります。

加工の角度範囲は、主に95〜175°と曲げの角度が急になります。曲部が潰れたりシワが寄ったりしないように、機械を操作する技術が必要です。

パイプの曲げ加工4:U型曲げ

U型曲げとは、文字通りアルファベットの「U」のようにパイプを180°曲げる加工方法です。

両側から徐々に曲げ始め、段階を踏んで中央部を曲げていきます。U型曲げでは、曲げ半径(R)が小さい値で加工を行うことがあり、曲げの外側、内側に不適合が起こらないよう注意を払わなければなりません。

パイプの曲げ加工5:コ型曲げ

コ型曲げとは、カタカナの「コ」の字のように2箇所を曲げる加工のことです。

一般的には、一箇所ずつL型加工をし、「コ」の字を作り上げていきます。

パイプの曲げ加工6:Z型曲げ

Z型曲げは、アルファベットの「Z」のように2箇所を反対方向へ曲げる加工方法です。

「Z」というと、上下の水平部分の間が斜めになっている形状をイメージしがちですが、中央部分が垂直になっている形状もZ型曲げに含まれます。

ステンレスパイプ曲げ加工の注意点

ステンレスパイプ曲げ加工の注意点

ステンレスパイプの曲げ加工で高い品質を実現するには、発生しやすいトラブルとその原因を理解し、適切な加工方法や条件を選択することが重要です。ここでは、代表的な不具合と対策について紹介します。

【ステンレスパイプ曲げ加工の注意点】

  1. 曲げ部分にシワや割れが発生することがある
  2. パイプ潰れ(断面変形)が発生することがある
  3. スプリングバックによる角度誤差が起こりやすい
  4. 表面傷・焼けが発生することがある
  5. 材料ロットや寸法のばらつきにも注意が必要

1. 曲げ部分にシワや割れが発生することがある

ステンレスパイプを曲げる際は、曲げ外側に引張応力、内側に圧縮応力が加わります。そのため、加工条件が適切でないと外側には割れ、内側にはシワが発生することがあります。

このような不具合を防ぐためには、曲げ半径(R)や加工速度、加圧力を適切に設定することが重要です。また、パイプの材質や肉厚に合わせた金型の選定や、加工条件の最適化によって、安定した品質を確保しやすくなります。

2. パイプ潰れ(断面変形)が発生することがある

曲げ加工のパイプ潰れ(断面変形)とは、パイプの断面が円形から楕円形に変形したり、一部が潰れたりする現象のことです。断面変形が大きいと、配管性能や外観品質に影響を与えてしまいます。

断面変形を抑えるには、適切な曲げ金型を使用することに加え、マンドレルや砂充填などの内部サポートを使用する方法が有効です。また、パイプの肉厚と曲げ半径(R)のバランスを考慮した加工条件の設定が重要になります。

3. スプリングバックによる角度誤差が起こりやすい

ステンレスは、曲げ加工後に材料が元の形状へ戻ろうとする「スプリングバック」が発生しやすい素材です。その結果、狙った角度よりも曲げ角度が浅くなり、寸法誤差につながることがあります。

スプリングバックを考慮した加工には、あらかじめ戻り量を見越して曲げ角度を設定することや、試し曲げを行いながら条件を調整することが重要です。特に高い寸法精度が求められる製品では、経験やノウハウに基づいた加工条件の設定が品質を左右します。

4. 表面傷・焼けが発生することがある

外観や耐食性が求められるステンレスパイプでは、加工時の表面品質も重要なポイントです。曲げ加工中に金型との摩擦によって傷が付いたり、高周波曲げでは加熱にともなう焼けや酸化スケールが発生したりすることがあります。

これらを防ぐには、潤滑剤を使用して金型とのかじりを防止するほか、ステンレス専用の保護材を使用することが有効です。また、高周波曲げでは、酸化スケールの除去や適切な表面処理を行うことで、美しい仕上がりを維持できます。

5. 材料ロットや寸法のばらつきにも注意が必要

同じ加工条件でも、材料ロットや寸法の違いによって曲げ加工後の仕上がりが変わる場合があります。外径や肉厚のわずかなばらつきが、曲げ精度やスプリングバック量に影響することも少なくありません。

安定した品質を確保するためには、材料証明書によるロット管理や、外径・肉厚などの寸法確認を行うことが重要です。また、量産前に試し曲げを実施し、加工条件を調整することで、不具合の発生を防ぎやすくなります。

ステンレスパイプ曲げ加工に関するよくある質問

ステンレスパイプの曲げ加工を依頼する際に、強度への影響や小ロット対応の可否、図面の必要性など、さまざまな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。ここでは、ステンレスパイプの曲げ加工に関してよく寄せられる質問とその回答を紹介します。

【ステンレスパイプ曲げ加工に関するよくある質問】

  1. 曲げ加工をすると強度は落ちますか?
  2. 小ロットでも対応可能ですか?
  3. 図面がなくても依頼できますか?

Q1. 曲げ加工をすると強度は落ちますか?

ステンレスパイプは、適切な加工条件で曲げ加工を行えば、基本的に大きく強度が落ちることはありません。ただし、曲げ条件によっては材料に大きな応力が加わり、疲労強度が低下する可能性があります。

Q2. 小ロットでも対応可能ですか?

ステンレスパイプの曲げ加工は、1本からの小ロットや試作品でも対応できるケースが一般的です。

ただし、製品によっては専用の金型や治具の準備が必要になることがあります。そのため、数量が少ない場合は、段取り費や初期費用の影響で、1本あたりの単価が割高になる可能性があります。

Q3. 図面がなくても依頼できますか?

図面がなくても依頼可能な場合があります。現物や簡単なスケッチ、外径・肉厚・曲げ角度・曲げ半径(R)などの寸法情報があれば、対応できるケースは少なくありません。

ただし、製品を正確に製作し、品質を確保するためには、最終的に簡易図面や仕様書による確認が必要です。図面の有無にかかわらず、お困りの場合はぜひ宮脇鋼管までご相談ください。

宮脇鋼管の曲げ加工サービス>

ステンレスパイプの曲げ加工は宮脇鋼管へ

ステンレスパイプの曲げ加工は宮脇鋼管へ

宮脇鋼管は、素管への一次加工(切断、開先、穴あけ)だけでなく、パイプの曲げ加工も得意としております。たとえば、パイプの厚みが薄く形状保持が難しい場合でも、専用の治具を用いて最適な方法で製作し、出荷まで対応いたします。

特に小さいR値でのパイプの曲げ加工には、高度な技術が必要です。宮脇鋼管では、必要に応じてオリジナルの治具を用い、お客さまのご要望にお応えします。

また、ロットの大小に関わらず即納をご提案し、加工工程全体を徹底した品質管理のもとで対応いたします。VE提案から単品図の作成まで実現可能です。

さらに、鋼管をお客様がすぐに使用できる状態まで加工し、お届けするサービスを提供しております。

  • 難しい加工に対応できるか?
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  • 鋼材の価格と納期が知りたい
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このようなお悩みやご要望がありましたら、鋼管加工の総合技術商社として豊富な実績を持つ宮脇鋼管までお気軽にお問い合わせください。お客様の用途やご要望に合わせて、最適な加工方法をご提案いたします。

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