鋼管うんちく

えぐり加工(鞍型加工)とは|構造物を支えるパイプ加工技術と実例を紹介

2025.06.24
えぐり加工(鞍型加工)とは|構造物を支えるパイプ加工技術と実例を紹介

えぐり加工は、パイプの端面を曲面状に加工することで、パイプ同士を正確に接合させるための技術です。鞍型加工とも呼ばれ、大規模なスタジアムや高層タワー、街のアーケードなど、さまざまな構造物に活用されています。

本記事では、えぐり加工の概要や実際に使われている構造物の例、使用する加工機械の特徴のほか、宮脇鋼管が手がけたえぐり加工の実例を紹介します。

えぐり加工とは

えぐり加工は、「鞍型(くらがた)加工」とも呼ばれ、馬の鞍のような形に切断することが名称の由来。パイプの端面をえぐるように加工する手法で、主にパイプ同士をなめらかに接合させることを目的として行われます。

えぐり加工の接合部の角度は、直角に限らずさまざまです。パイプの径が大きくなると、溶接の強度を高める目的で、えぐり加工をした部分に開先加工を併用するケースがあります。

このえぐり加工は、鋼構造物や橋梁、道路景観商品、建産機部材など、幅広い分野で採用されており、パイプ溶接の際に重要な加工の一つです。

ポイント

パイプの枝管が複数交わる形状に加工することを「重複切加工」といいます。宮脇鋼管では、重複切加工から溶接まで、一貫した鋼管構造物の製作を手掛けています。

関連記事:開先溶接のコツは?開先加工の基礎知識や欠陥の発生原因について

えぐり加工が活用されている構造物

えぐり加工が活用されている構造物

えぐり加工は、パイプ同士を正確に接合し、構造物の強度を高めるために欠かせない技術です。その特性を活かし、身近な公共施設から高層タワー、さらには世界的なランドマークに至るまで、さまざまな構造物で広く活用されています。

ここでは、えぐり加工がどのような場所で活かされているのか、具体的な例を紹介します。

大規模なスタジアムや競技場

大規模なスタジアムやドーム型競技場などでは、広い空間を支えるために鋼管を組み合わせた複数の三角形によるトラス構造が採用されます。トラス構造を表現する際にえぐり加工を施すことで、鋼管同士を正確に接合でき、仕上がりの良さと強度の両立が可能です。

宮脇鋼管では、1991年の屋根開閉式多目的競技場に始まり、東京オリンピック競技場などの著名な施設の建設に携わっています。

高層タワーや大型観覧車

高さや構造の複雑さが求められるタワーや観覧車では、パイプ同士の精密な接合が不可欠です。えぐり加工により部材間のフィット感を高めることで、構造全体の耐久性と安全性が向上します。

東京スカイツリーや日本一の観覧車といったランドマークにもえぐり加工の技術が活用されており、大規模な建築物の安定性を支えています。

街のアーケードや公共施設

商店街のアーケードや公共施設の屋根支柱、歩道橋など、日常生活でよく目にする建築物にもえぐり加工が採用されています。このようなパイプ同士を多角的に接合する構造物では、接合部の精度が強度や耐久性に影響します。

えぐり加工によってパイプの端面を曲面状に削り合わせることで、部材同士が密着し、溶接時のズレや歪みを最小限に抑えることが可能です。これにより、強風や地震といった外力にも耐えうる構造物が実現します。

宮脇鋼管では、街の風景を形づくる公共建築物やインフラ施設に対しても、高精度なえぐり加工で対応し、設計者や施工者の信頼に応えています。

関連記事:パイプ溶接のコツは?ステンレスなど素材別の注意点も

えぐり加工で使われる機械の種類

えぐり加工で使われる機械の種類

ここでは、えぐり加工に用いられる代表的な3種類の機械について紹介します。

えぐり加工機

えぐり加工機は、えぐり加工に特化した機械です。パイプの径や接合角度に応じて、えぐり加工の形状を調整できます。

しかし、えぐり加工をするためには、まずパイプを直線に切断する工程が必要です。えぐり加工機だけではなく、パイプをカットする機械を用意しなければなりません。

プレス加工機

プレス加工機は、金属などの対象物に強い圧力を加えて成形するための機械です。代表的なプレス加工として、「曲げ加工」「穴あけ加工」「くり抜き加工」「絞り加工」の4つが挙げられます。

プレス加工機は、基本的に専用の金型と組み合わせて使われます。金型によって形状や寸法が決まるため、作業者による品質のばらつきが少なく、安定した仕上がりが得られる点が特徴です。

えぐり加工にプレス加工機を用いる場合には、パイプ同士の突き合わせ角度に合わせた専用の金型を製作しなければなりません。量産に適した加工機械ではありますが、少量生産の場合はコストが割高になる傾向があります。

レーザー加工機

レーザー加工機は、レーザーを照射することで対象物を切断したり、彫刻や文字・記号を刻むマーキングを行ったりできる非接触型の加工機械です。刃物や金型を使うえぐり加工機やプレス加工機とは異なり、工具が直接対象物に触れないため、工具の摩耗や刃の交換といったメンテナンス作業が必要ありません。

このような特性から、レーザー加工機はえぐり加工との相性が非常に良く、特に高精度が求められる接合部の加工に最適です。パイプの切断からえぐり加工までを一貫して行えるうえ、金型を用意する必要がなく、小規模〜中規模の製作依頼にも柔軟に対応できます。

実際に宮脇鋼管では、えぐり加工を行う際、使用目的や鋼管の材質に応じて、プラズマ・ガス・レーザー切断の中から最適な方法を提案しています。

宮脇鋼管のえぐり加工(鞍型加工)

宮脇鋼管のえぐり加工(鞍型加工)

宮脇鋼管では、1991年の屋根開閉式多目的競技場を皮切りに、日本を代表する大型建築物のえぐり加工(鞍型加工)を数多く手がけてきました。日本一の高さを誇るタワーや国内最大級の観覧車、さらには2020年東京オリンピックの競技場など、名だたるプロジェクトに携わっています。

もちろん、街のアーケードや工場の庇(ひさし)、体育館の屋根支柱といった、地域に根ざした鋼管構造物の製作にも幅広く対応。大型案件から身近な構造物まで、えぐり加工の技術を活かして社会インフラを支えています。

現在は、全国のお客様の多様なニーズに応えるべく、東西に計4基の3次元加工機(レーザー・プラズマ・ガス)を配置しています。

設計図をお預かりすれば、えぐり加工から溶接まで一貫して対応することが可能です。また、ステンレス鋼管へのえぐり加工にも対応していますので、ご要望があればお気軽にご相談ください。

えぐり加工は、鋼管構造物に重要な加工技術です。より大きなサイズや複雑な形状にも対応できる体制を整え、お客様の課題解決に貢献し続けてまいります。

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鉄の鋼管をお客様がすぐに使える状態の製品に加工してお届けすることができる新しい加工サービスも実施しております。

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