
特殊ネジは、一般的なネジでは対応できない特殊な用途に応じて設計された重要な部品です。防犯性を高めるいたずら防止ネジや、半導体装置や医療機器で使われる樹脂ネジなど、その種類は多岐にわたります。
本記事では、特殊ネジの特徴や規格ネジの種類、タップ加工などのネジ穴加工に関する技術について詳しく解説します。
特殊ネジとは

特殊ネジとは、一般規格とは異なる形状や機能を持ち、特定の用途や条件に対応するために設計されたネジのことです。たとえば、防犯目的のために一般的な工具では外せない「いたずら防止ネジ」や、半導体装置、電気通信端末に使用される「樹脂ネジ」、頭部に六角星形がある「ヘクサロビュラネジ」などが挙げられます。
医療機器や自動車産業などの高精度・高耐久性が求められる分野では、特殊な材料や表面処理が施された特殊ネジを使用するケースが少なくありません。用途に応じて、耐薬品性や電気絶縁性、強度が求められる場合もあり、それぞれの特殊ネジがさまざまな要件に対応しています。
規格ネジの種類

特殊ネジのように特定の用途に使われるネジがある一方で、サイズや形状、材質などが定められた規格ネジがあります。ここでは、代表的な規格ネジの種類について紹介します。
規格の名称一覧 | 種類 |
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メートルねじ |
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インチねじ |
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管用(かんよう)ねじ |
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メートルねじ(ミリネジ)
メートルねじは、ISO(国際標準化機構)によるメートル法(国際単位系)に基づいて規格化されたねじです。正式名称は「メートルねじ」ですが、ミリ単位のサイズが多いことから、一般的に「ミリネジ」と呼ばれています。また、メートルねじがISO規格に準じていることにちなんで、別名「ISOネジ(イソ・ネジ)」と呼ばれることもあります。
日本国内のメートルねじには、JIS(日本産業規格)で定められた2種類があり、用途に応じて使い分けられます。ひとつは「メートル並目ねじ」です。メートル並目ねじはネジ山の間隔が広めに設定され、一般的な締め付け作業に適しています。
もうひとつが「メートル細目ねじ」で、並目ねじよりもネジ山のピッチ(山と山の間隔)が細かくなっています。より精密な締め付けが求められる精密機械の組み立てなどに適したネジです。
インチねじ
インチねじは、寸法がミリ単位で規格化されたメートルねじに対し、各寸法がインチ単位で作られたネジです。「ユニファイねじ」とも呼ばれ、主に産業機械や航空機、デジタル機器・通信機器関連で使われます。インチねじは、海外製の機器を扱う際に必要になることが多く、輸入機械のメンテナンスや修理では欠かせない存在です。
インチねじは、アメリカ発祥の規格「ユニファイねじ」と、イギリスの起業家が考案した「ウィットねじ」の2種類に分かれます。それぞれねじ山の角度が異なっており、ユニファイねじが60℃、ウィットねじが55℃です。
管用(かんよう)ねじ
管用(かんよう)ねじは、水道管やガス管など、液体や気体を通す配管の接続や結合に特化したネジです。一般的な締結目的のネジとは異なり、耐密性を重視して設計されています。
管用ねじには国ごとの細かな規格があり、代表的なのは「ISO管用ねじ(管用平行ねじ・管用テーパーねじ)」と、「アメリカ管用ねじ」です。管用ねじは、異なる規格を誤って使うと結合部分に隙間が生じてしまい、漏水や破損の原因となります。それぞれ用途に合わせて適切な規格を使用することが非常に重要です。
ネジとネジ穴加工の関係性

特殊ネジや規格ネジの特性を最大限に活かすためには、対応するネジ穴の加工が不可欠です。雄ネジ(ボルト)を差し込めるよう、雌ネジ(ナット)のギザギザ部分を削ったり掘ったりする加工のことを、タップ加工といいます。
ここでは、タップ加工について簡単に紹介します。
タップ加工とは
タップ加工とは、ネジ穴(雌ネジ)を形成する加工法のことを指します。あらかじめ開けた穴に「タップ」と呼ばれる特殊な工具を差し込み、回転させながら内部にネジ山を刻む作業です。
工具の名称がそのまま加工方法の名前となり、「タップ加工」として広く知られています。タップ加工は、ネジ穴を必要とするあらゆる場面で活躍し、その正確さと汎用性から、多くの分野で欠かせない技術のひとつです。
タップ加工の種類
タップ加工には、大きく分けて「切削式」と「転造式」の2種類があります。
「切削式タップ加工」では、あらかじめ雌ネジの直径に合った下穴を素材に開けておき、そこに切削式タップを挿入します。タップを回転させることで、工具の鋭い刃が素材を削り取り、ねじ山を作る工法です。加工前に下穴径を正確に確認しておくことで、ねじが緩んだり固定力が不足したりするリスクを抑えられます。
一方「転造式タップ加工」は、金属に強い圧力をかけて塑性変形を起こさせる方法です。切削ではなく、素材そのものを押し広げることでねじ山を形成するため、切屑が発生しません。ただし、転造式では加工精度が特に重要となり、素材の硬さや厚さによっては加工が難しくなるケースがあります。
タップ加工の流れ
一般的なタップ加工の流れは、以下のとおりです。
- 下穴をあける
- 切削油を注油する
- ねじ山を作る
- ねじ込む
流れに沿って丁寧に進めることで、ネジの特性を最大限に活かせるネジ穴加工が完成します。
関連記事:タップ加工のやり方とは?タップの種類や手順について解説
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