
チップソーは、アルミや鉄、薄鉄板などの多様な素材を切断加工できる回転刃です。先端部分にはチップと呼ばれる刃が取り付けられており、用途に応じてさまざまな種類が存在します。
本記事では、チップソーの特徴や鋸刃との違いから、チップソーの種類、さらに選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。あわせて、宮脇鋼管が提供する高精度な切断加工サービスについて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
チップソーの特徴
チップソーとは、円盤状の鋸にチップを一定間隔で取り付けた回転刃のことです。チップソーカッターや丸鋸(まるのこ)などの電動工具に装着して使用され、回転の力で素材を切断します。
チップソーには刃の数や刃型の形状などの違いによって多くの種類が存在しており、それぞれ適した素材が異なります。木材や鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどの非鉄金属、樹脂、石膏ボードといった幅広い素材の加工に対応できますが、ガラスや布、紙のような素材には対応していません。
鋸刃とチップソーの違い
鋸刃とチップソーの最大の違いは、「刃先にチップがあるかどうか」です。鋸刃はチップが付いていませんが、チップソーは刃先にチップをロウ付けし、精密に研磨されています。チップの種類は、主に以下の4つです。
- 超硬チップ
- サーメットチップ
- 焼結ダイヤモンドチップ
- 超微粒子超硬チップ
チップソーで金属を加工する際には、主に「チップソーカッター」を使用します。金属を高速回転で切断すると摩擦熱が発生しやすく、刃が焼けるおそれがあるため、チップソーカッターは低い回転数(回転速度)で設計されているのが特徴です。
一方、木材を低回転のチップソーカッターで切断すると、切断面が粗く仕上がってしまいます。木材を加工する場合は、木工専用の「丸鋸(まるのこ)」を使用するのが一般的です。素材に合わせて適した工具を選ぶことで、安全性を保ちながら精度の高い加工が行えるでしょう。
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チップソーの種類

チップソーには、切断加工する素材によってさまざまな種類があります。以下では、「アルミなどの非鉄金属用」「鉄・ステンレス用」「板金・薄鉄板用」の3種類について、それぞれの特徴を紹介します。
アルミなどの非鉄金属用
非鉄金属用のチップソーは、アルミサッシやトタンなどの比較的柔らかい素材や薄い板材の切断に適したタイプです。刃数が多く、一つひとつの刃が小さく設計されていることから、切断時に素材が変形しにくいというメリットがあります。
また、アルミや真鍮(銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金)などのねばりのある非鉄金属は、切断時に切り粉(切りくず)が絡みやすい素材です。刃を細かく設計することで、切り粉を効率的に排出できるよう工夫されており、作業中の目詰まりを防ぎながらスムーズに切断できます。
鉄・ステンレス用
鉄・ステンレス用のチップソーは、硬く厚みのある金属を効率的に切断できるよう設計されています。非鉄金属用とは対照的に、刃数が少ないものが多いのが特徴です。
ただし、刃数が少ない分だけ切断面がやや粗くなりやすく、バリ(切断後にできる突起)が出やすい傾向があります。仕上がりを重視する場合は、切断後に軽く研磨するなどの後処理が必要になるでしょう。
また、鉄やステンレスは非常に硬く、切断時に強い振動が発生します。素材がしっかりと固定されていない状態で作業すると、刃の摩耗が早まったり、チップや刃が欠けたり飛んだりする危険性があります。安全に加工するためには、素材を確実に固定し、安定した状態で作業するようにしましょう。
板金・薄鉄板用
板金・薄鉄板用のチップソーは、鉄・ステンレス用に比べて刃数が多いタイプです。チップには、HRA値(硬度を示す指標)が高い素材が使われていることから、摩耗しにくく、長寿命で安定した切れ味を保ちます。
また、ガルバリウム鋼板など柔らかく薄い板材を扱う場合は、「ガルバ」「ガルバリウム対応」と表示された製品を選ぶと安心です。素材の特性に合ったチップソーを使用することで、仕上がりが美しく、効率的な加工が行えます。
チップソーの選び方
チップソーを選ぶ際には、加工する素材や使用する工具との相性、刃の数、刃型の形状などのポイントを確認することが大切です。用途や工具に合わないチップソーを使うと、思うように切断できないだけでなく、刃の欠けや工具の破損につながる危険があります。
ここでは、チップソーを選ぶ際に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
1.用途に適しているか
チップソーには、アルミなどの非鉄金属用や鉄・ステンレス用といった金属加工向けだけでなく、木材用や草刈り用など、用途ごとにさまざまな種類があります。素材の硬さや性質に応じて設計されているため、必ず「加工したい素材に適した種類」を選ぶことが大切です。
もし木材用のチップソーを金属に使用してしまった場合、摩擦熱によって素材が癒着したり、チップが欠けたりするおそれがあります。最悪のケースでは、チップソーや工具そのものが故障してしまう可能性があるでしょう。
このように、見た目が似ていても用途によって設計が大きく異なります。カタログやパッケージに記載された「用途」を必ず確認し、対象素材に合ったチップソーを選ぶことが重要です。
2.工具に取り付けられる外径になっているか
金属を切断する場合は専用のチップソーカッターを使用しますが、このとき装着できるチップソーの外径は、工具本体の仕様によって厳密に定められています。チップソーを選ぶ際には、使用する電動工具に「取り付け可能なサイズ(外径)」であるかを必ず確認しましょう。
金属加工用チップソーの外径は、100mm以下の小型タイプから455mmの大型タイプまで幅広く展開されています。サイズが合わないチップソーを無理に装着すると、刃が干渉して破損や事故につながるおそれがあるため、注意が必要です。
購入前には使用予定の工具の取扱説明書を確認し、「対応外径」や「適合サイズ」を必ずチェックしましょう。
3.刃の数は適しているか
チップソーの刃の数は、作業効率や仕上がりに大きく影響します。
刃の数が少なく、一つひとつの刃が大きいチップソーは、鉄やステンレスなどの中厚・厚物素材に向いています。切断スピードが速く、厚みのある素材でもスムーズに切り込めるというメリットはありますが、切断面が粗くなりやすく、バリが発生しやすい点がデメリットです。
一方、刃数が多いチップソーは、アルミサッシ・トタン・合板などの薄物加工に適しています。刃が細かく素材に均等に当たるため、切断面を滑らかに仕上げることが可能です。
ただし、刃数が多いタイプは切断スピードがやや遅く、切り粉が詰まりやすいという欠点があります。また、厚物には不向きで、過剰な摩擦が生じると刃の摩耗が早まる点に注意が必要です。
4.刃型の形状は適しているか
チップソーの刃型の形状は複数の種類があります。それぞれの用途に合わせて、適したチップソーを選びましょう。
| 刃型の名称 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 平刃 |
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| 千鳥刃 |
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| 交互刃 |
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| 組刃 |
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| 高低刃 |
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