鋼管うんちく

金属のスリット加工とは?鋼管へのスリット加工についても解説

2024.03.15
金属のスリット加工とは?鋼管へのスリット加工についても解説

今回は金属のスリット加工に焦点を当て、加工方法や仕組み、用途、スリット加工を選ぶメリット、鋼管へのスリット加工について解説しています。

私たち宮脇鋼管の加工サービスについても触れていますので、スリット加工の基礎知識についてお知りになりたいという方だけでなく、「金属のスリット加工が依頼できる業者を探している」「鋼管へのスリット加工を他の業者に断られて困っている」という方も、ぜひ参考にご覧ください。

金属のスリット加工とは?技法や用途について

金属のスリット加工とは?技法や用途について

一般的な「スリット加工(スリッター加工)」とは、シート状の素材を指定の幅で断裁し、別の芯に巻き取る加工のことです。スリット加工が可能な材料は金属の他にも紙・フィルム・不織布・粘着テープ・フィルムと幅広く、加工機の機能次第でミリ単位の幅で断裁することも可能です。

あらゆる製品の製造現場で採用されるスリット加工ですが、金属の加工に関しては、切削加工の中の一つという位置付けになります。

また、スリット加工と同じくロールに対して刃を当てて断裁する加工に「突っ切り加工(押し切り加工)」があり、こちらはロールそのものに直接刃を入れて必要な幅で切り落とす加工方法となっています。

関連記事:宮脇鋼管で可能な「切削加工」って? 加工の製品例を紹介

関連記事:切削加工できない形状や材質は?問題を解決するアイデア

スリット加工を行う「スリッター機」

スリット加工を行う機械を「スリッター機」といい、2箇所の巻取部と、巻取部を繋ぐパスラインで構成されています。

スリット加工の仕組みですが、シート状の材料が巻かれているロールを巻取部に設置し、上刃と下刃があるパスラインを通過しながら指定の幅に断裁。その後、引き続きパスラインを通過しながらもう一方の巻取部で再度ロールに巻き戻します。

スリット加工の用途

スリット加工の「スリット」とは切れ目や隙間を意味し、金属などのワークを細長く切るために用いられる方法です。そのため、大きな幅で断裁するというよりは、細かな幅で断裁する目的で使用するケースが多い傾向にあります。

カット加工との違い

スリット加工と類似した加工にカット加工がありますが、スリットが幅方向(短い方)を細く断裁するというニュアンスを持つのに対して、カットは長さ方向(長い方)に切断するというニュアンスを持ちます。

つまり、ロールや長方形状の材料に対して、幅を指定の寸法で切るのがスリット加工で、長さを指定の寸法で切るのがカット加工とイメージするとわかりやすいでしょう。

ただ、スリッター機にはカット機能が搭載されていることがほとんどですので、スリット加工と同時にカットも行えます。

スリット加工の難しいポイント

スリット加工する際の難しいポイントは、設定が適切でないとワークの端部がギザギザになるバリ(カエリ)や、ワークの表面が引っ張られて滑らかになるダレが発生しやすいことです。

バリやダレは製品の品質に大きく影響する要素となるため、バリやダレが発生しないように設計する、バリやダレが発生しない方式や加工機を使用する、万が一バリやダレが発生した際はバリ取りなどの処理を行うといったことで対応します。

一般的なスリット加工の方式について

スリット加工には、ワークへの刃の入れ方で主に2つの方式に分けられます。

シャースリット方式

シャースリット方式(シアースリット方式)とは、下刃にある凹みと上刃を合わせ、その接触部分でワークを断裁する方式です。長さがあるワークや柔らかい金属の断裁、バリを発生させなくたい場合に適している一方で、細い幅への断裁はあまり得意とせず、ダレが発生しやすいという特徴があります。

ギャングスリット方式

ギャングスリット方式は、シャースリット方式と違って上刃と下刃が同じ条件で断裁するスリット加工です。左右どちらの端面も同じ品質で切ることができ、ダレが発生しにくく、さらに細い幅への加工も得意とします。一方で、シャースリット方式と比べてセットに手間がかかり、長尺の巻き取りが苦手です。

スリット加工のメリット

スリット加工のメリット

シート状の金属にスリットを入れる際、スリット加工を選ぶメリットについてご紹介します。

スリット加工のメリット①:幅の精度が優れている

スリット加工を選ぶメリットとして、幅の精度が優れている点が挙げられます。

ワークを指定の幅に断裁する方法はいくつかありますが、スリット加工はシート状になっている金属から断裁するため、幅の精度がとても良好で、切り口が美しいのが特徴です。

スリット加工のメリット②:長さが自由に変えられる

スリット加工を選ぶメリットに、長さが自由に変えられるという点も挙げられます。

突っ切り加工(押し切り加工)はロールそのものに刃を入れて断裁するので長さ自体を加工することができず、長さを調整したい時はカット加工を別で施す必要があります。対してスリット加工はシート状の金属を指定の幅で断裁するだけでなく、同時に長さも自由に変えることができます。

そのため、指定幅への断裁と長さの調整が必要な加工時は、スリット加工が用いられます。

鋼管におけるスリット加工について

左:3次元プラズマ・ガス切断機、右:切断の様子

鋼管におけるスリット加工は上記でご紹介したスリット加工と違い、角パイプや楕円パイプに対して切削加工やレーザー加工でスリットを入れていきます。

鋼管へのスリット加工パターン

鋼管のスリット加工には、端部から細いスリットを入れるパターンと、スリットを大きく入れるパターン、端部の隅を残してスリットを加工するパターンの大きく3つのパターンがあります。

スリット加工の方法

鋼管へスリットを入れる方法には、穴あけ加工や切り欠き加工、レーザー加工などがあります。

穴あけ加工とはドリルなどの機器を使用して固定した金属に穴をあける加工方法のことで、切り欠き加工とは金属の一部分を切り抜き・切り落としする加工のことです。またレーザー加工とは、熱で金属を溶かしながら切断を行う加工方法です。

これらの加工方法にはそれぞれ特徴があり、得意な材料・加工できない材料、必要な工数・コストに違いがあります。

そのため、鋼管にスリットを入れる際は、金属の種類や納期、コスト、製品の使用用途、使用環境などを考慮して、ベストな加工方法を選択していきます。

関連記事:穴あけ加工とは?加工の種類や方法、鋼材によって変わる注意点について

関連記事:レーザー加工のメリットとデメリットとは?レーザー加工機の種類についても

鋼管へのスリット加工の工程

宮脇鋼管の場合、鋼管へのスリット加工では、まずパイプ切断機にワークをセットし、スリット加工や端部を切断。ノロ、スパッタを除去して仕上げます。

【鋼管のスリット加工】
①:パイプ切断機へ材料をセット
②:端部をスリット加工・切断(左右)
③:ノロ、スパッタを除去

また、スリット加工に加えて宮脇鋼管の代名詞である鞍型加工(エグリ加工)や開先加工など他の加工を組み合わせることもあります。

宮脇鋼管の「鞍型」 >

鞍切りという難しい特殊加工を安心してご注文頂けるワケ >

鋼管のスリット加工でお悩みなら…

宮脇鋼管のスリット加工は、プレートの長さや厚みに応じてスリットサイズを自由に設定することができ、さらに角パイプはもちろん、丸パイプのスリット加工も対応可能ですので、芯ずれを起こす心配なく精度の良い製品が提供可能です。

特にブレース材については、最終製品の建方現場搬入まで一括でご依頼いただくケースが多く、また一番実績の多い製作品となりますので、ご検討の方はぜひお気軽にご相談ください。

宮脇鋼管の加工事例やスリット加工の詳細 >

ご依頼の際はCADデータをいただくだけでOKです。「他社で断られた」「どこに依頼すれば良いかわからない」といった方でもまずはご相談ください。

鋼管加工のベストアドバイザー宮脇鋼管へ

鋼管・パイプ加工のベストアドバイザー宮脇鋼管へ

宮脇鋼管は、鋼管加工のスペシャリストとして、お客様にとってのベストアンサーを提供いたします。ロットの大小に関わらず即納提案し、加工のすべてを品質管理いたしますのでご安心ください。VE提案から単品図の作成まで実現可能です。

鉄の鋼管をお客様がすぐに使える状態の製品に加工してお届けすることができる新しい加工サービスも実施しております。

  • 難しい加工に対応できるか?
  • まずは在庫を確認したい
  • 鋼材の価格と納期が知りたい
  • 詳細な見積もりが欲しい

など、
鋼管加工の総合技術商社として、最新の鋼構造加工システムを提案する宮脇鋼管へお問い合わせください。

ご要望に応じた窓口を用意しています

「難しい加工に対応できるか?」「まずは在庫を確認したい」「鋼材の価格と納期が知りたい」「詳細な見積もりが欲しい」
「まずは資料が欲しい」などご相談・ご質問等、お気軽にお問い合わせください

  • 関東
    03-5642-1255
  • 関西
    06-6658-3817