今回は、鋼管の接続方法についてご紹介します。基本的な鋼管の知識から接続する方法、加工の種類まで、鋼管を繋げるための基礎知識を、私たち宮脇鋼管の加工事例とともにわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
目次
鋼管の基礎知識
はじめに、鋼管とは何か、どのような用途で使用されているのかを見ていきます。
そもそも鋼管とは?
鋼管とは「鉄鋼で作った管」のことです。鋼管と聞くと、断面の丸いタイプをイメージする方が多いと思いますが、断面が四角の角型鋼管や、特殊な形状をしている三角・ひし形・楕円・L字型などの鋼管もあります。
また、使用する鉄鋼が持つ特性が鋼管にもそのまま反映されますので、使う場所や用途に合わせて使う鋼管の種類を変えていきます。
鋼管はどこで使われている?
鋼管はどの種類も基本的に耐久性・強度・耐食性が高い部材です。そのため、建築物の構造体や機械部品など構造物を支えるために使われたり、水やガスなどの液体・気体を通す配管として使われたりと、活躍の場は多岐にわたります。
鋼管の種別 | 用途 |
---|---|
構造用 | ビル鉄骨や機械部品など支柱屋根や骨格形成部材に利用 |
配管用 | 液体や気体を通すために利用 |
関連記事:鋼管とは?種類や用途、加工方法をご紹介
鋼管を接続する方法は2種類
鋼管の接続方法は大きく2つあり、1つは鋼管と鋼管を直接接続する方法、もう1つは鋼管と鋼管の間に継手(つぎて)と呼ばれる部材を挟んで接続する方法です。
鋼管を接続する方法
①:鋼管と鋼管を直接繋ぐ方法
②:継手(つぎて)を挟んで繋ぐ方法
前者の鋼管同士を直接接続する方法を採用する場合、鋼管同士を繋ぐための加工が必要となります。対して、後者の継手を挟む接続方法を採用する場合は、継手を接続するための加工が必要です。
鋼管の接続準備①:鋼管加工について
鋼管を直接繋ぐ場合と継手を挟む場合のどちらの方法を採用するにしても、まずは鋼管そのものに加工を施していきます。
例えば、鋼管と鋼管・鋼管と継手をくるくるとネジのように回して接続する場合は「ねじ切り加工」が必要です。さらに接合部の強度を上げる時にはフランジという部材を取り付ける「フランジ加工」を行います。
その他にも、適切な長さ・形状に整える切断や切削、溶断、開先、穴あけ、スリット、曲げなどの加工を必要に応じて行っていきます。
【鋼管を接続するために必要な加工】
- ねじ切り加工
- フランジ加工
- 切断加工
- 切削加工
- 溶断加工
- 開先加工
- 穴あけ加工
- スリット加工
- 曲げ加工 など
フランジとは?
接合する部材からはみ出すように出っ張っている麦わら帽子のツバのような円盤状のプレート部材などの総称です。
鋼管の場合、接合部分を強化するために用いられます。
なお、私たち宮脇鋼管では、鋼管を接続するパイプの端部を曲線に切断できる加工設備も所有していますので、他社で難しいと断られた加工でもぜひご相談ください。
鋼管の接続準備②:継手について
継手には、鋼管同士を真っ直ぐに繋ぐソケットやニップル、進路を変えるエルボ、鋼管を分岐したり集合したりするチーズなど、様々な形状のものがあります。
鋼管で使用する継手の主な種類 | 用途 |
---|---|
ソケット/ニップル | 鋼管同士を真っ直ぐ繋ぐ |
エルボ | 鋼管の進路を変える |
チーズ | 鋼管を分岐・集合させる |
関連記事:配管の継手とは? 基本の種類や用途、特徴を一覧で解説
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鋼管の接続方法にはいろいろな種類がある
鋼管の接続方法は、直接繋ぐか継手を使うか、鋼管の形状や材質はどうか、用途や場所に適しているか、求められる強度が出せるかといったあらゆる条件に応じて選びます。
ここでは、数ある接続方法の中で使用頻度の高い接続方法である「溶接による接続」「差し込み接続」「ねじ込み接続」「フランジ接続」の4つを見ていきましょう。
【鋼管の接続方法①】溶接による接続(溶接式)
溶接による接続(溶接式)とは、文字通り鋼管同士・鋼管と継手を溶接で接続する方法です。
溶接には、金属を溶かしてくっつける「融接」、圧力を加えてくっつける「圧接」、母材となる金属を溶かさず他の金属を溶かしてくっつける「ろう付(ろう接)」がありますが、鋼管の溶接では「融接」をするのが通常です。
溶接による接続とは?
部材同士を溶接して接続する方法。
鋼管の場合、主に融接が用いられる。
代表的な溶接方法はアーク溶接、ガス溶接など。
溶接は鋼管の接続方法でもポピュラーな技術で、構造体・配管問わず、幅広いシーンで採用され、さらに安定性と強度が向上するという点で、他の接続方法と組み合わせる場合もあります。
なお、鋼管をいきなり溶接するのではなく、開先加工といって、端部を溶接しやすい形状に整えてから溶接していくケースもあります。
関連記事:開先溶接のコツは?開先加工の基礎知識や欠陥の発生原因について
溶接による接続①:アーク溶接
アーク溶接とは、アーク放電(電極間で放電させること)で生じた熱を利用して、溶接棒や溶接ワイヤーと呼ばれる金属を溶かし、その溶けた金属で部材同士を繋げる溶接方法です。鋼管の溶接でよく利用します。
溶接による接続②:ガス溶接
ガス溶接とは、可燃性ガスで溶接棒などを溶かし、部材同士を繋げる溶接方法です。厚みがあると難しいため、厚みの薄い場合の溶接で採用します。
【鋼管の接続方法②】差し込み接続(差し込み式)
差し込み接続(差し込み式)は部材同士を差し込んで接続する方法で、水道管などの配管工事で用いられることの多い技術です。
部材の厚みを削る・スリットを入れる・スリーブで覆って厚みを増やすなどの加工を施し、さらに溶接までセットで行うこともあります。
差し込み接続とは?
部材同士を差し込んで接続する方法。
代表的な継手はTS継手など。
差し込み接続①:TS継手
TS継手のTSとは「Taper Sized(径・幅・厚みなどが先細りになっている状態)」という意味で、水道や給水など圧力をかけて流体を送り出す用途で用いられる継手・接続方法です。
【鋼管の接続方法③】ねじ込み接続(ねじ込み式)
ねじ込み接続(ねじ込み式)は、部材同士をねじ込んで接続する方法です。部材の端部にねじ切り加工をして、回転させながら繋げます。接続・分解しやすい方法なので、仮で接続する場合や、取り回しが予定されるシーンでも用いられます。
ねじ込み接続とは?
部材同士にねじ切り加工をして接続する方法。
代表的な継手は管端防食継手、ドレネジ継手など。
関連記事:鋼管のねじ切り加工の特徴とは?適した鋼材の種類や加工方法について
ねじ込み接続①:管端防食継手(コア内蔵継手)
管端防食継手は、鋼管の端部にコアと呼ばれる防食・耐食用の部材を取り付けて接続する方法です。主に水道配管で使用します。
ねじ込み接続②:ドレネジ継手
ドレネジ継手も同じく水道配管で使用する接続方法ですが、こちらは主に排水用配管で使用する方法です。水漏れリスクの低減に特化した継手となっています。
【鋼管の接続方法④】フランジ接続(フランジ式)
フランジ接続は、部材同士をフランジで接続する方法です。接続・分解がしやすく、さらに接合部分の強度も高まるので、定期的にメンテナンスが必要なシーンや、気体・流体が漏れるのを防ぎたいシーンなどで使われます。
フランジ接続とは?
部材同士をフランジで接続する方法。
ちなみに、フランジ接続はフランジ2個が1セットとなり、このようなフランジのセットを「組セット」といいます。また、もともと部材にフランジ加工が施されていて、そのフランジの相手方となるフランジを「相フランジ」と呼んだりもします。
鋼管の接続に必要な加工は他にも…
今回は鋼管と鋼管を接続するための方法に関する基本的な加工技術をご紹介しましたが、鋼管の端面加工には開先やねじ切りの他にも、鞍型や重複切、面取り、管端つぶしなどの加工があります。
特に鞍型と重複切は私たち宮脇鋼管の代名詞でもある難易度の高い加工技術です。
「他社では断られてしまった……」「図面から材料調達、加工、現場での組み立てまで一貫して依頼したい!」といった方は、ぜひ一度、宮脇鋼管までお気軽にご相談ください。
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